昭和のプロ野球を代表する投手、鈴木啓示

鈴木啓示投手が引退した後日本のプロ野球界に300勝投手は現れていません。通算317勝の鈴木投手は現在のところ最後の300勝投手でありますが、当時と比べて今のプロ野球はすっかり分業制になり、年間20勝をあげる投手もいなくなってしまいましたから、今後もおそらく出そうにありません。鈴木投手が本当の最後となる可能性が高いです。
野球そのものがすっかり変わってしまった今では、これ以外でも今後達成されそうもない記録を鈴木投手はたくさん持っています。例えば先発勝利数の288です。200勝投手も今後あまり出なそうとされていますが、鈴木投手は先発した試合だけで288勝です。逆に言いますと途中リリーフしての勝利数は29しかありません。これは他の名投手と比較しますと断然少ない割合です。先発したら何があっても最後まで頑張るという鈴木啓示の信念がうかがえます。
また通算被本塁打数は560本でこれは日本だけでなく世界でも最多の本数です。当時の本拠地球場が狭かったという事情はありますが、実はその一方で無四死球の完投試合が78もありこれも記録です。ということは、例えば敬遠などで逃げることもせず強打者たちにも正面から向かっていった証です。
また彼は高校を卒業してから引退まで背番号1を通した珍しい記録も持っています。当時は万年Bクラスだったチームでエースとして必死に頑張り続けた姿は昭和の大投手としてふさわしいものです。