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小林繁は悲劇的なプロ野球のヒーロー

小林繁

今では考えられないことでも、昔のプロ野球界なら起こりえるものです。「江川事件」もその一つで、空白の1日を利用して読売ジャイアンツと契約した「怪物」江川卓投手でしたが、これを無効とされ巨人はドラフトをボイコットしました。その結果、阪神タイガースと契約を交わしました。しかし、巨人は江川投手を獲得するために阪神とトレードを画策します。

そのトレード相手となったのが小林繁投手でした。世間は新人である江川投手のためにトレードされた小林投手に同情しました。その後、阪神の一員となった小林投手は巨人戦8連勝を飾るなど、巨人キラーとして活躍し、沢村賞やベストナインを獲得します。「巨人だけには負けたくない」その気持ちが形になって表れた結果でした。

そんな「悲劇のヒーロー」小林投手ですが、実はもう一つ日本の野球界にとって大きなことをしています。引退後、解説者やコーチなどを経て地元の福井に帰った小林繁さんは、少年野球の指導を行います。そこで教わった選手たちが数年後、福井県の敦賀気比高校の主力として活躍し、2015年の選抜を制覇、北陸勢の甲子園初優勝を果たしました。残念ながら小林さんは既に亡くなっていて、それを知ることは出来ませんでしたが、彼らの活躍を、きっと天国で喜ばれたことでしょう。